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最後の夏休み12

[374] ホッチキス 2011-05-30投稿
魔法の特訓には所長が付き合ってくれることになった。

どうやら他の研究者はみんな忙しいらしく、意外と所長がひまだったりするのである。

「魔法をイメージするには自然にあるものがいいね。」

所長はにっこりしてそう教えた。

どうやら今のところ理論的に使えるとされる魔法っていうのはランプの魔神が使うような魔法ではなく、RPGなどで使えるような火を出したり傷を治したりする魔法らしい。

「出来ることの幅が狭まってなんだか騙された気分なんですが。」

戒は魔法でなんでもできるようになると思っていたが、意外とそうでもなくてがっかりしていた。

「いやいや、手から火や雷がでれば、なんか強くなってスーパーマンみたいな気分が味わえるよ。それにそのうち空だって飛べるようになるかもしれないし。」

「まあ、せっかく手に入れた力ですし、特訓はしますよ。」

戒はそういって目を瞑って炎をイメージした。
燃え盛る炎を。

…10分後

一向に炎はでないそう簡単にはいかないらしい。

「戒くん。炎をイメージするなら温度が上がっていく様子をイメージしないと。明確なイメージを持たないと魔法は使えない。ほら、頑張ってみて。」

…数時間後
やはり炎は一向にでなかった。だが…

「戒くん。もうすぐ夜になるし、今日はこれで最後にしよう。」

「はぁはぁ。最後っていっても炎は出てないですし、何の成果もないですよ。」

戒はさすがに疲れていた。
数時間の間何度も何度も瞑想させられていて、何の成果もあげられないままで。

「いや成果なら出てるよ。最後にこの水の入ったコップをもってもう一回炎をイメージしてごらん。」

戒は言われるままにコップを手に取りイメージした。

すると、コップからゴポゴポと泡の出る音が聞こえた。

目を開けるとコップの中の水は沸騰していた。

「ほらね。成果はあったでしょ。ちなみに今君がこのコップを持っても火傷をしないのも、魔法によるものだよ。」

「あ…あ…。」
戒は言葉が出なかった。
この何時間ずっと魔法がでなかった。
騙されたんではないかと思っていた。
しかし…
魔法が出来たのだ。人とは違う何かをやっと手にすることが出来たのだった。

水を沸騰させる、ちっぽけな魔法かもしれない。あまり意味のない魔法かもしれない。

しかし、これが戒の初めての魔法であった。

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