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Love song

[393] 玲唯 2011-06-07投稿
04.


「よう、マコ! 連れてきたぞー」

「ちょっと何よ。勝手に!」

「こいつ、永田未来(ミク)」


 次の日、音楽室で曲の練習をしてるとリュウが突然音楽室に入ってきて、無理矢理連れてきたような感じの女の子の紹介を始めた。


 その子は栗色の長い髪にメッシュを入れてて、凄く短いスカートで、私はその子に対してもちょっと怖いなって思った。


「あ。この子知ってる。天才ちゃんでしょ?」


 その女の子の言葉が胸に突き刺さった。


 影では、そう呼ばれてるんだ……


「華原さん、だっけ? 将来ピアノで期待されてるんでしょ? 親から英才教育うけさせられてさ、学校の先生は甘々らしーね。コンクールのことで新聞にも載ってたりするし。いい気になるなって、みんな言ってる」


 別にいい気になってない。ただ私は期待に応えたいだけ。


 でもみんなにそう思われてるのは凄く辛い。


「何だよそれ。そんなの勝手に言ってるだけだろ? こいつ、俺らよか真面目だし。いい気になってる感じ全然しないけど」

「ふーん……で、何でここに連れてきたわけ?」


「マコと仲良くしてやってほしいと思って」


 リュウは私の友達をつくろうとしてるんだ……


 するとミクっていう女の子はつかつかと歩み寄って来て、私の顔を覗き込むようにして見る。


「確かに、みんなが言うような感じしないよねー」

「本当?」

「何となくだけどね」


 そう言うとその子は薄く笑って私の隣に座った。


「よろしくね。ミクでいいから」

「う、うん! マコでいいよ」


 ちょっと怖いし、いろいろ言われたけど、ミクちゃんもいい人なんだって思った。


 初めてできた友達。大事にしなきゃ。


「マコって、家どこ?」

「西町だけど……ミクちゃんは?」

「あたしも西町。一緒に帰る? リュウも西町だから、3人でさ」

「え、い、いいの?!」


 私がそう聞くとミクちゃんはちょっと驚いた顔をして頷いた。


 多分、私の食いつきように驚いたんだと思う。


 初めての友達ができて、初めて友達と一緒に帰る。


 楽しみで仕方なかった。


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