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悪魔の天使 (5)

[334] 暁 沙那 2011-07-06投稿
「リア、何してるんだい?」

どこか怒っているような声に、リアはとられていた手のことを思い出した。

慌てて手を引く。
さっきまで強かったレクスの手には、ほとんど力が入っていなかった。

「えっと…おば様…」

とっさに口を開いたが次の言葉が出てこなかった。

「リア、お前は下がっていなさい。」
「…はい……。」

リアはその言葉に部屋へ戻ろうとした。

すると背を向けた直後、いきなり後ろに引かれた。

驚きで声も出なかった。

そのまま後ろを振り向くとレクスだった。

指先に口づけられた。

そして、そのままの体勢で囁かれた。

『私の使用人、リズを外に待たしてあります。』

それに従って下さい、と。

リアは頷きもせず一礼してその場をあとにした。

「ティーアス卿、申し訳ありません。つい、リア様が気になったもので。」
「あれはやめておいた方がよろしかろう。そんなことよりも例の件について話を聞かせていただきたい。」
大広間の奥にある小部屋の一角を示した。

レクスは小さく頷くとそこへ向かうのだった。

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