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奈央と出会えたから。<434>

[560] 麻呂 2011-07-10投稿

珍しく、クラス中シーンと静まり返り、


みんな、渋川の一言一言を真剣に聞いていた。


ユカが転校するコトは、合唱コンクールの前からクラスメイト達には知らされていたケド、


渋川が、あたし達の卒業と同時に、この学校から離れるというコトは、


今、初めて知らされたコトだった。



ガラッ―ー‐


その時、教室の扉が勢いよく開き、


見ると、そこには聖人が立っていた。



『‥‥ンだよ、みんなシケたツラしやがって。

お通夜じゃねぇんだからよ。

秋田谷のお別れパーティーでも、でっかくやろうゼ!!』



聖人の一声に、


みんなが聖人に注目する。


渋川も一瞬、教師という立場を忘れ、


ボーッとした表情をしてたケド、


すぐにこう言い放った。



『き、き、北岡ァ――!!

お前、遅刻した分際で何を偉そうにしている!!

さっさと席に着かんか!!』



渋川は、怒鳴っているにもかかわらず、


今にも泣きそうな顔をしていた。


あたし達が卒業するまで、あと1年。


ユカと一緒に過ごせるのは今学期まで。


渋川は、ただの担任としてだけの感情ではなく、


ひとりの人間として、


あたし達を見てくれるようになった。


そんな渋川のコトを、


今はみんな、


大好きなんだと思った。

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