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悪魔の天使 (11)

[358] 暁 沙那 2011-07-19投稿
「さ、行こうか。」
と、レクスは手を差し出した。
その手をリアは躊躇いながらそっととった。



リアたちは再びあの大広間にいた。
確かこれから始まるのは主役の挨拶に社交ダンス。

リアは隣にいるレクスを見上げた。
と、彼の黒い瞳と目があった。
レクスもリアを見ていたのだ。

不思議と安堵がよぎる。
それと同時に声が零れた。

「ねえ、私たちいつか会ったことがあった?」
「ないけど?
どうして?」
「ううん、何でもないの。」

そっか、とレクスが淡く微笑んだのとほぼ同時に会場が静まり返った。

視線の先にいたのは
「おば様……。」

リアは無意識に一歩下がっていた。
瞳には暗い色が浮かんでいる。

「リア」

優しく名前を呼ばれて、不安そうな顔を上げた。

ついレクスの手を握る。
羞恥なんて頭になかった。
ただただ不安だった。

(おば様は私の存在を認めて下さってない。
部屋に戻れって言われたのに、ドレスまで貰って、また帰ってきて……。
絶対怒られる。)

リアの心を占めた不安。
認められない恐怖。

レクスはそれらをなだめるかのように、リアの手を握る手に力を込めたのだった。

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