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だからどうか、ここにいて。

[635] きまぐれ天使 2011-07-23投稿




「魔法が使えたら何するー?」



頬杖をついた男子は、
だるそうな目つきで
そんなことを言った。



だるそうに。



「魔法?
…お金持ちになる、かな?」



「かわいくね〜ぇ。」



本当にだるそうに欠伸をして、
その男子は机に突っ伏した。



「かっ…!?
じゃあ、玲は何すんのさっ!」



ちょっと本気になった私は
玲に視線をやる。



「俺は〜、」



机に落書きでもしているのか
寝た体勢のまま喋りながら
ペンシルを動かしている玲。



「王子様になるね、なる。」



「は?魔法使いなのに?」



意外にもファンタジックな玲に、
私は思わず笑ってしまった。



「王子なのに
魔法も使えるんだぜ?
最強だよ。」



「王子のくせに、でしょ。
欲張りすぎだよ。」



そう言ったあとで
カバンから振動音。



相手は、たぶん彼氏。



その彼氏は私を、
遊び程度にしか思ってない
…なんて誰にも言えない。



私は、携帯を開いて
メールを確認しようとした。



「俺のだよ。」



「え、でも…」



確かにあの振動音は、
私の携帯からで
メールは新着ボックスに…



と、説明しようとすると
急に玲が立ち上がった。



「玲?」



瞬間、私は
玲に抱きしめられていた。



「俺のだってば。」



「ちょっ、いきなり…」



その力は少し、痛くて。
私は玲を離そうとした。



それでも玲は、緩めない。



「他の奴にあげたくない!
彼氏のとこ行くなよっ…。
そいつより絶対
俺のがおまえ好きだから!」



私は、そんな玲に
キスなんかしてしまった。



キスなんか。



玲は、きょとんとしている。



「え…?」



私は泣きそうになりながら
玲を抱きしめ返した。



「魔法、
王子様にかけたから。」





ずっと好きでいてくれる
解けない魔法。




玲の机には
王子様とお姫様の絵。




その横に
本当の王子様と私。

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