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悪魔の天使 (16)

[338] 暁 沙那 2011-08-03投稿
「母さん…どこに行っちゃうの?一人にしないで!行かないで!」

小さな手は虚しく空を切る。

頬を涙が伝う。



「あの子のそばにいた人って皆不幸になってるんだって。」
「あれには近付かない方が身のためだね。」

ずっと避けられて育ってきた。

叔母からは認められず、義姉妹からは疎まれていた。
そんななかで悪魔と契約し自分の身を守った。

『一人にしないで。』

乞うように契約した。

寂しかったから。

家族が欲しかった。

休まる場所が、安心できる場所が、信頼できる人が、唯一の人が欲しかった。

母に、父に、叔母に裏切られた。

人が、周りの妖魔でさえ信用できなかった。

死にたくなるほど



辛かった。



だから私はあれに頼ったんだ。

その光は裏切るということも知らずに……。

頼って、失望して……。

最悪だ、私。

死にたい。



また彼みたいな光を求めよう。

いや、目を、耳を、心を閉ざそう。

そしたらもう



裏切られない!
一人にならない!



もう寂しくない!





自身の想い。

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