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悪魔の天使 (17)

[401] 暁 沙那 2011-08-07投稿
レクスはまだ大広間の中にいた。

しかし誰とも話さず、考え事に更けっていた。

あの時……。



「レクス様、なぜあの方なのですか?あの方のどこが良いのですか?」

彼女は傷むような目をしたあと、手をそっとレクスの胸に当てた。
そして静かに身体を預ける。

この状態を人に見られたら、変な誤解を受けかねない。
だからと言って強引に押し返す訳にもいかない。

レクスは悩んだ後、そっと彼女を離した。

それが彼女の癇に障ったのか、彼女は腕をレクスの首に回した。

「あの方、いえ、リアお姉様よりはましなはずですですわ。ね?」

そう言い終わると彼女の顔が寄った。
そして唇に柔らかいものが当たる。

この感触には覚えがあった。
仕事で何度も感じたことがある。

愛してもないのにする口づけはなにも感じない。

それなのに。



彼女とリアは気付いていたのだろうか。
あの行為に気持ちなんて入ってなかったことに。

(案外こういうことには疎そう。)

そんなことを考えながらふと隣を見た。

「あ。渡すの忘れてた。」

レクスはその忘れ事をリズに託した。
そして、また考え事に更けるのだった。

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