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この眼差しが溶けるまで

[314] アイ 2011-08-07投稿
遠く置き忘れた光は

世界を汚して消えました

まるで最初から何もなかったかのように

変わり果てた夢は心を砕くものでしかなく

カタコトトタンと

普通を生きる私の中、乾いた音を立てて転がるのです

曇った現実は私のせい

この目が欠陥品だから

何も映してはくれないから

でもそれなら、この耳も飾りだというの?

以前はよく聞いていた歌さえ

最早私の心を揺さぶることはないのです

ただ知っているのは

それでもこの世界は、何を失っても輝き続けるということ

田んぼの畦道に染みる童唄

夕焼けの光を吸い込んで立つ鉄塔

人々の陰影は変わりなく

幾度も幾度も

私の闇を払拭するのです

壊れた目を直し

耳を本物に付け替え

夢のない世界でも生きられるように

精一杯背中を押してくれるのです

だから過去の光を思い出し

チクリと痛む胸であっても

同じくらい愛しく切ない気持ちで

これからを歩いていきましょう

この眼差しが溶けるまで、ずっと。

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