携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> 恋愛 >> おにいちゃん、これおしえて?

おにいちゃん、これおしえて?

[469] misato 2011-08-21投稿
Part six # 藤堂郁 #


「いっくん――?」


わたしはその男の子の名前を聞き、凄く驚いていた。


「郁……」


ぽそり。

颯天くんが、呟く。


郁くんの事を颯天くんが知っているという事は、やっぱりこの男の子――“藤堂郁”は、颯天くんの双子のお兄さんなんだ……。


わたしはそう確信した。







休み時間。


わたしは郁くんに“約束”のことを聞こうと思ったんだけど……。



「藤堂くん、趣味は何なの?」
「ねぇ、携帯持ってるよね?良かったらアドレス教えて〜っ」



「うわあ……」


休み時間になった途端、郁くんの周りに人が押し寄せた(女子)。


郁くん、かっこいいからなあ……。


って、どうしよう。これだと全然話を聞く事が出来ない。


わたしは頭を悩ませた。


……仕方ない、やっぱり約束の事は颯天くんに聞こう。


そう思って颯天くんの方を見てみると、



「なあ池内、これやるよ」
「お、さんきゅ。……なんか微妙な味だな、これ」
「うっわ微妙とか言っちゃう?池内、お前さ――」
「じゃあさ、颯天。こっちはどうだ?」
「おま、人が話してる時に……!」



こっちはこっちで人だかりができていた(男子)。

「…はあ…」


「―――待ってよ、藤堂くんっ」


ひとりため息をついていると、そんな声が聞こえてきた。


何だろう?


そう思って声がした方向を見てみると……

「えっ?」

「………ちょっと来て」

郁くんがわたしの目の前まで来て、いきなり腕を掴んできた!

しかもそのまま、わたしをぐいぐいと教室の外へと引っ張っていく。

突然の出来事に、クラス全員がびっくりしていた。

颯天くんも驚いた目でこっちを見ている。


――みんな、見てないで助けてよっ!


目だけでそう訴えてみるが、伝わるわけがない。わたしはなされるがまま、郁くんに教室の外へ連れ出された。


そこで解放してくれるかと思ったが……


「ちょ、ちょっと!?」

廊下に出ても、郁くんは止まる気配がなかった。階段を上り、屋上へと歩いていく。――わたしの腕を掴んだまま。


「っ……」


手を振りほどこうとしても、やっぱり男女の差は大きい。わたしの抵抗は無駄だった。






そして、屋上――。


そこにきてやっと郁くんは、わたしの腕を解放してくれた。

感想

感想はありません。

「misato」の携帯小説

恋愛の新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス