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『生きる』ということ。<10>

[411] 黒魔法 天使 2011-08-30投稿
「な…何よ…」

「なんで…聖を追いかけて来るの…?」

「なんでって…そんなの当たり前でしょ!?
家族なんだから…大切なんだから…!!」

「じゃあ、なんでっ…なんで聖をずっと一人ぼっちにさせてたの!?
聖が、どんな気持ちだったかわかる!?
あなたは『仕事だから』って仕事のせいにして、ただ聖の病気から逃げてるだけじゃない!!
聖は、こんなに小さな体でも一生懸命闘ってるのに…。大人なんて………大人なんて大っ嫌い!!」

羽琉の目からは涙が出ていた。

羽琉は聖の手を握ったまま走っていった。




「はあっ…はあっ…羽琉ちゃん、ちょっと待って…!」

「あ…、ご…ごめん…。」
羽琉は聖の手を離した。


「あ…の…、ごめん…。啖呵切るつもりは無かったんだけど…つい…感情がはいっちゃって……。」

羽琉は涙を拭きながら言った。

「ううん…ありがとう。」

「…よし!!」

「??」

羽琉はポケットから小さなハサミを取り出した。

「!?」

すると、

 ‐ジョキッジョキッ‐

と自分の長ーい髪を切りだした。

「えっ!?う…羽琉ちゃんっ!!?」


切り終えるとその髪を前に突き出した。

「聖は私が守る!この命に変えてもっ!!」

と大きな声で言った。

「…………」

聖は驚きのあまり、きょとんとしている。

そして…

「ぷっ……あははっ!」

と笑った。

「な…なによ!本気なんだからねっ!!」

羽琉は恥ずかしそうに顔を真っ赤にした。

「だって…それ、男の口説き文句みたいなんだもん!!」

聖はお腹を抱えて笑っている。

「……ぷ…ホントだ!」

羽琉も笑い出す。

「でも、髪の毛短くなっちゃったね…。」

「いいの!これは誓いの証なんだからっ!!」

「「…ぷ…!!」」

二人はまた笑い出した。


それから二人でお腹が痛くなるまで笑っていた。

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