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がんばったで賞 150 〜深まる愛〜

[325] るー6 2011-09-18投稿
「ヒロ…。練習は?」
「アキちゃん…やっぱり…。」
ヒロはカズヒロの質問を無視して、アキの心配をした。
カズヒロも、答えてくれないヒロに、無駄な苛立ちは覚えなかった。
「先生、病院は連れていったほうがいいんですか?」
カズヒロが無意識に呟く。
「そう…ね…。でも、気を失っているだけだから、この痣を治療すれば、元気になると思う。」
「そうっすか…。」
「私、ずっと看てるから大丈夫。」
先生は笑ってくれた。

1時間、2時間とすぎた。先生は、袋に氷水を入れ、痣を冷やしていく。
「直接置くと冷たすぎるから、タオルを1枚敷いてから冷やすようにして。」
「分かりました。」
カズヒロ、ヒロも手伝う。
すると、放送で「先生方は職員会議がありますので、至急職員室にお集まり下さい。」と連絡が入った。
「…ごめん。看病続けててもらえる?」
「分かりました。」
先生は申し訳なさそうに出ていった。
すぐ、後を追うようにヒロも、
「実は俺も…バイトなんだ。」
「あぁ、そうか。」
「どうしても休めなくて…。ごめん。」
カズヒロは首を横に振った。
「じゃあ…アキちゃんによろしく言っといて。」
「了解。」
ヒロも出ていった。

日も沈みかけてきた夕方、皆練習が終わり下校しているようだ。
すると。アキが目を覚ました。
「…アキ!気づいたか…。」
『カズヒロ…』
アキは、痛々しい手を動かしながら伝えてきた。
『ここは、どこ?』
「保健室…。今はゆっくり休んで…。」
それしか言ってやれない自分を殴りたくなった。
「ヒロもアキのお見舞いに来たんだ。今はバイトでいないけど。」
『そう…。』
「アキ、ごめん。」
『…』
カズヒロを見つめる目が、涙ぐんでいた。
カズヒロが来たのが嬉しくて泣いているのか、サユにやられたことが辛すぎて泣いているのか、分からなかったけど。
きっと、何かが吹っ切れたのだと、思った。
「俺の…『助けるのはこれが最後』…。この言葉が、アキを苦しめさせてしまったこと、本当に、ごめん。」
アキは、首を横に振った。
『私の方こそ…ごめん。』
アキが泣いている理由を、カズヒロは模索し続けた。

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