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悪魔の天使(46)

[344] 暁 沙那 2011-10-09投稿
「で、私はどうすればいいの?」

ベッドの上に手をついて座り、上目でレクスに問うと笑みが返ってきた。

「楽しませてくれたらいいんだけど。何してくれるの?」

リアはしばらく俯き、考えていたが、いきなりレクスを見ると飛び付いた。
満面の笑みで。

「ねえ、私たち結婚するんだよね?じゃあ、宣戦布告しましょ?」
「宣戦布告?」

リアは更にニコッと笑って頷いた。



小広間に叔母、クロア、レイなどリアとレクスの関係者が集まっていた。

「結構集まって頂けましたね。」

ステージの上から薄らと微笑んだリアが言った。

「どうするつもりだい?リア。」
「どうするつもりって、まずはお訊きしたいことを訊くんですよ?」
「訊きたいこと?」

リアは頷くと笑みを消した。

「私には約二年前からの記憶がありませんね?何故ですか?」
「何故それを……!」
「彼と帰ってくるとき少しばかり思い出したのです。」

それは儚い記憶だった。

レクスは謝っていた。
しかしリアは記憶を消すのが、国からの命令だというのを知っていたから。

優しく頷いた。

「何故なのです?」

真っ直ぐに叔母を見ると叔母は一つ息を吐きリアを見た。

「お前と彼を別れさせ、彼をクロアと婚姻させるためだ。お前ではこの家の為にはならない。」

リアは少し唇を噛んだがステージの下からは見えなかっただろう。

「お前があの家に連れていたれたのも必要なくなったからだ。もうお前はこの家には要らないんだよ。」

広間にしばらくの沈黙が流れた。

それを壊したのは一つの笑い声。
リアだった。

「フフ…アハハハ…アッハハハハハハ!!」

ステージの上でいつもとは到底違う様子で笑う。

「アハハハ…ハハッ……ハーアッ……。」

顔を押さえていた手から少し覗いた顔は、殺気に満ちていた。

「ああ、そう。別にどうでもいいわ。」

手を下ろしそうスパッと言い切るとステージ裏の方をチラッと見た。

するとレクスがゆっくりと歩いてきた。

「リア。」
「…レク……。」

レクスの優しい声色に、さっきのが嘘のように表情を変え、目元を潤ませる。

「ほらね、やっぱり私は要らないんだって。だからもういいよ。」

唇を噛み、俯くと、レクスにそっと抱き締められた。

「無理、しなくていいから。」

リアは顔を上げると、足を伸ばして……。

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