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[302] ホリキコ 2011-10-22投稿
「灰原ヤマト…ですか?」

特別事件部の新米刑事、北元 良(キタモト リョウ)は灰原ヤマト(カイバラ ヤマト)の名前と共に渡された写真を見た。
歳は17歳前後の青年と思われ、肩にかかりそうな髪と光の無い目が印象的であった。

「この青年が…一体何を?」
北元は先輩刑事である宮沢 克(ミヤザワ スグル)に対し聞いた。

「一昨日の正午、5人を金槌で撲殺。遺体は死んだ後も長く殴られていたようで、身元確認に時間がかかったそうだ。」

宮沢は資料をまとめながら淡々と言う。
北元はある疑問を抱く。

「ただの殺人事件じゃないですか、何故うちの所に来たんでしょう?」

特別事件部はあまり表沙汰にされないワケアリの事件を担当する部署であり、ただの殺人事件はまず回ってくることがない。

資料をまとめながら宮沢はまた淡々と答えた。

「この青年は“HAPI”からの脱走者だ。」



北元は自分の耳を疑った。

「HAPIから脱走…ですか…?」

「ああ。」

「まさか“S部屋”からってことはないですよね……?(笑)」

宮沢はすぐには答えなかった。
だが、はっきりとこう答えた。


「そのまさかだ。」


「マジすか……」


「ああ。」


「じゃあこの青年は……」


「ソイツの“能力”はだな……










“会話することで命を奪う”だ、そうだ。」

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