姫と吸血鬼 3
―“何度も言いますが私は吸血鬼です”
『…そんなことくらい分かってるわよ。だって私はあの時、あなたと契約を交わしたんだもの』
そうあれは1、2年前のこと。
私は、自由が欲しかった。ただそれだけだったのに…。
この手で両親を殺した。
血まみれの部屋に残された私に舞い降りて来たのは吸血鬼。
そう、allan(アラン)だった。
あなたは私が何故両親を殺したのかは問い詰めなかった。
その代わり、こう私の耳元で囁いた。
『いい臭いがする』
最初は意味が分からなかった。
けど、それは私の血の臭いを表す言葉。
「私と契約を交わしていただければ、貴女の願いを一つだけ叶えて差し上げます。」
allan(アラン)は私の背に合わせて膝まついた。
「いいわ。契約してあげる。」
その時の私に迷いなんて無かった。
「ですが、代償は高いですよ?」「代償…?」
「そう、その願いが叶った時。貴女の命を私が頂いてしまう。と言うわけです。」
「けど、私今そんな大きな夢は無いわ。だからこれでどう?私の夢が思いつくまで、貴女は私の執事として従うの。」
我ながら、ナイスアイディアだと思う。
命なんていらないし、使用人たちも殺しちゃったし好都合。
「畏まりました。―お嬢様。」
こうして私達の話が始まった。
感想
- 41629:更新遅くなってすみませんっ>< 安里子[2011-11-01]