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劇団ドリームシアター(31)

[530] YOSI 2012-02-21投稿
「運命ですか?」
「大げさかもしれませんけど…。私達にとっては、少し自分の閉ざされていた部分を、開けてくれたなあって思えたんです」
「そっかあ…」
嬉しそうに話す、美紀の笑顔に、琢也は、いつの間にか引き込まれていた。
「どんな話をしたの?」
「私達、趣味が舞台鑑賞なんです。その人達も、同じ趣味だったんです。今までこの話をすると、たいてい場がしらけてしまってたのに…その人達は、ずっと聞いてくれて…あと、私達が見たことのない、小劇場の舞台とか、お笑いのライブの話をしてくれたんです」
「あっ!そういえば、お二方の話もしてましたよ」
「俺達の?」
「はい!お二方のネタも見たかったって…『笑えるんだけど、最後にホロリとさせるネタが、大好きだった』って」
「そっか…」
「こうも言ってました。…お二方の相方さんは、ソロになって、心から笑えてないんじゃないかって…」
「心から?」
「ええ…」
そういえば、琢也には、覚えがあった。
和人からのメールで、『ソロになって、売れて、嬉しいけど、なんか充実しないんだ…芸人としての自分は、求められてない。なんかむなしい…俺のやりたかったことって…』と綴られていた。
和人は、周りの意見に固められてしまい、今自分のやりたいことは、出来ていなかった。
「その人達は、言ってました。…『例え、小さなことであっても、小さな感動と笑いを届ける人がいいなあって。』…私達、聞いてて感動しました。…だから、このお店を辞めても、その人達と関わっていきたいんです。
私達のことを、見つけてくれた、その人達に…」
「佐藤さん。原山さん」
「ん?」
「私達、その人達を中心に、ジグゾーパズルが出来るとしたら、その一部になりたいんです。…お互いを励まして、応援していける、『仲間』ってゆうジグゾーパズルを…なんて、臭いこといってすみません」
琢也は、心を打ち抜かれたような気がした。
(そうだ…お笑いをはじめた頃の『笑い』で、日本中の人達に笑いを届ける、『笑い』で感動を与える…そんな志しを…俺は、いつの間にか忘れてたんじゃないか…)
俊作も同じ思いだった。
「俊作…」
「ん?」
「会ってみたいなあ…その人達に」
「お前もか!俺もだよ」
この時、義則達を中心とする、ジグゾーパズルの欠片が、2ピース増えた。

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