携帯小説!(スマートフォン版)

温かな傷口

[450] ユナ 2012-03-14投稿
去り際の一瞬の沈黙
きっと瞬き程の一瞬
けれど
僅かな視界に見たあなたの横顔は
あたかもずっと眺めていた光景のように
くっきり脳裏に焼き付いた


車から降りたあなたに
慌てて手を伸ばす
困った奴だ、と顔に書いてある
あの沈黙くらいの時間が流れて
あなたが手を握り返した


あなたの瞳を見るのが怖くて
俯いたままあなたの温もりだけが移動する
同時に胸に刻まれた傷は
温もりを失っていく私の手から
熱を奪って痛みに変えた


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