シャーペンの芯を食べる彼女。5話
放課後の学校を後にし、僕らがたどり着いたのは
「…………文房具屋?」
蒼子が僕の隣で、文房具と書かれた看板を見上げていた。
「さ、中へ入ろう」
僕は蒼子を後押しするように、背中をポンッと軽く押す。
蒼子は文房具屋の自動ドアが開くと同時に、ある場所へダッシュした。皆さんもおわかりだろう。
当然…
「ききき……き北岡君!シャーペンの芯がこんなにっ!……2Bがある!極細の0.3?!……… ……………どれも美味しそう……」
やっぱりな。
蒼子が喜びそうな物。色々考えて考えてみたけど、蒼子は学校で売店のシャーペンの芯しか口にしてないと言っていた。
同じ物しか食べない
つまり、いつかは<飽き>がくる。俺はそういう考えに至った。
俺の今日のデートプラン。
それは………名付けて!
【シャーペンの芯食べ放題フルコース!】
「………すごい、青い色をした芯があるなんて……はぁ」
「おい、欲しい……ってか食べたいシャーペンの芯があったら遠慮せず言えよ、買ってやるから」
「……ほ、本当?……」
だって、蒼子からしたら。フルコースのディナーが並べられているのをただ見てるだけなんて、我慢の限界だろう。
なら、腹一杯食べさせてあげたいと思うだろう?
エスコートしている身としては。
「……あっ……ありがとう。………北岡君」
「その北岡君っていうのやめてくれ……何かお前に言われると、くすぐったいっていうか…」
「じゃあ、…… 純君って読んでいい?………純君もおい!とかお前!じゃなくて…
蒼子って読んでくれたりしたら
……嬉しい」
「////っ!」
やっ、ヤバい!
さっきまで、あんなに
<エスコートしている身としては>とか
格好つけといて
何で僕がときめいてるんだ!!
「……純…君?」
「なっ///!何だっ!?蒼子」
「欲しいシャーペンの芯があったから、お会計…………お願いします」
「………あっ、はい」
……どこまでも、残念な奴だ。
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