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シャーペンの芯を食べる彼女。5話

[423] 大家ヒロト 2012-03-27投稿



放課後の学校を後にし、僕らがたどり着いたのは


「…………文房具屋?」


蒼子が僕の隣で、文房具と書かれた看板を見上げていた。

「さ、中へ入ろう」


僕は蒼子を後押しするように、背中をポンッと軽く押す。

蒼子は文房具屋の自動ドアが開くと同時に、ある場所へダッシュした。皆さんもおわかりだろう。


当然…


「ききき……き北岡君!シャーペンの芯がこんなにっ!……2Bがある!極細の0.3?!……… ……………どれも美味しそう……」



やっぱりな。

蒼子が喜びそうな物。色々考えて考えてみたけど、蒼子は学校で売店のシャーペンの芯しか口にしてないと言っていた。


同じ物しか食べない

つまり、いつかは<飽き>がくる。俺はそういう考えに至った。

俺の今日のデートプラン。


それは………名付けて!
【シャーペンの芯食べ放題フルコース!】


「………すごい、青い色をした芯があるなんて……はぁ」



「おい、欲しい……ってか食べたいシャーペンの芯があったら遠慮せず言えよ、買ってやるから」


「……ほ、本当?……」


だって、蒼子からしたら。フルコースのディナーが並べられているのをただ見てるだけなんて、我慢の限界だろう。


なら、腹一杯食べさせてあげたいと思うだろう?


エスコートしている身としては。




「……あっ……ありがとう。………北岡君」


「その北岡君っていうのやめてくれ……何かお前に言われると、くすぐったいっていうか…」


「じゃあ、…… 純君って読んでいい?………純君もおい!とかお前!じゃなくて…


蒼子って読んでくれたりしたら


……嬉しい」



「////っ!」

やっ、ヤバい!


さっきまで、あんなに

<エスコートしている身としては>とか

格好つけといて




何で僕がときめいてるんだ!!



「……純…君?」


「なっ///!何だっ!?蒼子」


「欲しいシャーペンの芯があったから、お会計…………お願いします」


「………あっ、はい」




……どこまでも、残念な奴だ。

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