携帯小説!(スマートフォン版)

愛病 4

[611]  2012-04-13投稿
寒いなぁ‥‥。
冬の夜はひどく身体に堪えた。
月明かりの当たるベンチに座り夜空を眺めた。
星が綺麗だった。




どのくらい時間が経ったのだろう。
辺りがうっすら明るくなってきた。
寒さも限界だった。
そろそろ帰ろう。
ベンチから離れ歩きだそうとした時、
「ニャー‥。」
後ろから猫の声が聞こえた。
振りかえると真っ黒の猫がこちらを見ていた。
私が歩み寄ると、黒猫は逃げることなく私に擦り寄ってきた。
野良猫なのか、身体が汚れていた。
私の首元で光る青い宝石を黒猫は見つめていた。
『これは太一がくれた物だからお前にはあげないよ。』
「ニャー‥、 ニャー‥」
私の足元でねだるように鳴いていた。
太一‥‥、そろそろ帰らないと、心配かけちゃう。
そんなことを思い、黒猫とじゃれあっていると
「ミサキー?ミサキー?」
公園の入り口から太一が走ってきた。
私を探している様だった。
『太一!!』
私の声で太一は私に気付き、ホッとした様子を見せゆっくりこちらに歩いてきた。
私も太一に近づいた。
黒猫もついてきた。
「ごめんな、友達は帰ったから。」
『なんで太一が謝るの?勝手に家を出たのは私なのに‥。』
太一は私を抱き締めた。
「一緒に帰ろう。」
彼は優しく微笑んだ。
『うん、』
そう私が答えると足元で黒猫が鳴いた。
「ニャー、」
彼は黒猫に気付き、
「猫?こいつと遊んでたのか?」
笑って彼は言った。
黒猫は相変わらず足元で鳴いていた。
「アパートは猫、飼えないんだ。ごめんな。さ、帰るぞミサキ!」
『うん、じゃーね黒猫。』
黒猫は、公園を出てもついてきたが家につく頃にはいなくなっていた。

感想

感想はありません。

「壱」の携帯小説

ミステリの新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス