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屋根の上 1

[648] をん 2012-05-12投稿


僕の通う学校で男子生徒が一人、命を落とした。

墜とした、と言った方が
的確かもしれない。


彼は墜落したのだ。
学校の屋上から。


彼の亡骸の近くには、古くなって錆びついた事故防止用のフェンスが転がっていた。



彼の死は不運な事故として扱われた。


馬鹿な大人たちは、月並みのように責任の押し付け合い。

どうやら学校側に非があるということで、話が落ち着きそうだった。


しかし、彼の死には不思議な点が二つかあった。

一つ目は彼の死亡推定時刻。

彼は夜中の一時頃に息を引き取ったのだ。

二つ目は彼の身体的な事だった。


彼は盲目だったのだ。



盲目の少年が夜中に、学校の屋上から墜落した。

何とも不思議な事ではあるが、彼の母にも警察にも、何故彼がそんな時間にそんな場所にいたのか、説明する事が出来なかった。


結局彼の死は事故死とされ、学校の屋上は閉鎖された。






「そのせいで俺達が屋上に入れねぇじゃねーか!」


隣に座っている宮城春樹がぼやく。



何故僕がこんなに長々と、少年の死について話していたのかというと、理由はここにある。



僕達の屋上が閉鎖され、封鎖されてしまった。


この事が、この事こそが、僕達にとっての唯一の問題だった。



まあつまりは、




「事故の真相暴いて、屋上を取り戻すぞ!」


という事だった。


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