携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> 恋愛 >> 悪魔の天使 (61)

悪魔の天使 (61)

[513] 暁 沙那 2012-06-11投稿
それから10分と経たないうちにディルがきた。
私を殺しに。

『ルカ、大人しくしてくれるね?君を傷付けたくない。』

よく言う。

『さあ、こっちにおいで。怒ってない。』

私は怒ってるよ?
貴方を殺したいほど。

『ねえ、じゃあこの事覚えてる?』

随分仲が良くなって二人でじゃれあった陽射しの暖かい冬の日の事。

『私たちが逢えたのは奇跡かもしれない。だから、大切にする。』

そう言ってくれた。』

気付いたら涙が頬を伝っていた。
体から力が抜けて、膝から崩れるように座り込んだ。

『大丈夫。約束は守るから。』
『じゃあ愛していると、そう言って?』

ディルは何も言わない。

『ほら。嘘つき。嘘ついたじゃない。』

泣きながら憎しみの目を向けた。

でも、次の瞬間息を飲んだ。

だって、ディルがあまりに優しく微笑むから。

『酷い……。何でそんな顔するの?』

涙がとめどなく溢れて零れていく。

『シャローズさんのこと、好きなくせに……。そんな顔しないでよ!!もう止めてよ!!惑わさないで!!!!』

廃教会が揺れた。

私の叫び声に呼応するかのように。

いや、呼応していた。

『――っ!?ゃ……?』

耐えきれず身を屈めるとフワッとしたものが私を支えてくれた。

『ドミニエ!?』

小さく震える私を宥めるようにすりよってくる。

抱きしめた。

ドミニエの暖かさに安心した。

それと同時の激しい怒りに力が溢れる。

『許さない…あんただけは許さない……!!愛していたわ、ディル。憎い憎いディル、愛してる。』

微笑んだ。
きっと一番優しい、歪んだ笑みだった。

『では、また来世でお会い致しましょう。ディエル・アイロウド様。』

胸元に手をあて――。

眠くて倒れた。

心臓のところどころからのゆっくりとした、それでいて大量の出血。

そう思うのとほぼ同時に意識が――。



――消えた――。



感想

感想はありません。

「暁 沙那」の携帯小説

恋愛の新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス