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冷房の夢

[394] 比呂 2012-08-17投稿
今日はありがとう

あたし嬉しかったわ

いろいろな話しができて

そう言うと、洋子は電話を切った。僕はもう少し話をしたかったが、電話を切られてしまった。

洋子にしては珍しかった。いつもならいろいろと、掴み所のない話やぶっ飛んだ話で盛り上がるのだが、その日は違った


だが、僕はそういう日もあるのだと思いそのまま床に就いた


その日は25度を越える熱帯夜で、むしろ30度に近いんじゃないかという暑さだった。これまで我慢して冷房はつけずに寝ていたが我慢の限界で今夜ばかりは許してくれよ地球と言わんばかりにエアコンのスイッチをつけた。

しかし、何度押してもつかない


長い間つけてなかったから故障したのかと思いながら、エアコンの画面を覗いていた


すると、そこに洋子の顔が浮かんだ。

うっすらとだが、確かにその顔の特徴はとらえていた。

僕は不思議に思いながらもしばらくその顔を見つめていた。

その見つめている洋子の顔は悲しそうだった。
僕は不安になった。

また電話をかけてみようか
ここはかけないで後悔しないよりかけて万が一のことを想定したほうがいいかもしれないと思った


そして、僕はかけた


だが、繋がらない

そのうち不安になって螺旋階段が目の前に現れた。

僕はその階段を駆け上がっていく

やがて、草原に出た

いつの間にか、駿馬のように猛スピードで走っている。

地平線に消え行く太陽に向かって走っていく
僕はそれが洋子なんだと思っていた

洋子、洋子と叫ぶ

すると、太陽が僕の目中に入ってきた

瞼を開ける

時間はいつものように回っている

もう洋子はいないんだと思った

部屋はエアコンがつけぱなしで真冬のように寒かった。

君が僕との時を止めたあの冬の日のように…




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