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月想ひ

[333] 比呂 2012-08-17投稿
月光や衆生の心包みたる

三日月や僕の心は月世界

月光を通す硝子の貴公子や

彼此を越え浄土に住す荻の原

秋風や二次関数を運べけり

隣家から引っ越しの声轡虫

鶏頭や字面を追って考えむ

片寄れる夜更けの我の秋思かな

鶺鴒の進みたる道止めたかり

新涼の風に吹かれしB4版

新しき生命聞こゆる木の実かな

夜が明けて爽やかな風虚子の句や

蔦の這ふ時代感ずる家屋かな

独り身の我に沁みるかなかなや

牛の食む牧草につく飛蝗かな

西瓜切る手に渾身の思ひかな

夜が来て深まる秋思折り紙や

高僧の読経の声宵月や


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