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篠崎夢人は目を覚ます

[396] 夏輝 2012-08-18投稿
「っ!!…はぁ…はぁっ…」
俺は目が覚めた。パジャマが汗でベタベタして、気持ち悪い。

こんな未来を見るようになったのは、いつからだろうか。覚えていない。
思い出そうとするけれど、いつもその記憶は掴もうとする腕をすりぬける。

「ムウト。起きたか。」

気づけば俺の部屋には沢和奈さんがいた。
俺には両親がいない。
何時からいなくて、何故死んだのか。それすらも分からない。
そんな親がいない俺を引き取ってくれたのが沢和奈さんだ。

26歳、科学者らしい。
ボサボサの髪。
やたら高い身長。
得体の知れない液体で汚れきって、もう白衣とは呼べない白衣。
どこかにデザイン性と言うものを置いてきてしまったような人だ。
顔はいいのだから、服と髪型さえどうにかすれば、イケメンなのに…と、常々思う。

「沢和奈さん…」

「また夢を視たのか?」

沢和奈さんは唯一俺の『予知夢』の能力を知る人だ。
彼は俺の能力を信じてくれていて、何かと心配してくれる。

優しい人だ。手が温かくて。ぶっきらぼうだけど。

俺はベッドを抜け出して、ひとつ、大きな大きなあくびをした。

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