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白金の剣

[410] 比呂 2012-08-20投稿
僕の小さな小さな心をどうしようかと迷うた時、迷いの森で筋肉隆々の小人達に会った

皆、羽衣に身を包み、腰には背格好に似つかぬ剣を提げていた

その小人達はどういうわけか皆、僕を見てニヤニヤ怪しい笑みを浮かべていた

僕は6人いる小人のうちの白い魔法使いのような帽子を被った碧眼の小人に訊いた

「なぜ、あなたたちは私を見てそのような笑みを浮かべておられるのでしょうか」

すると、今度はその白い帽子の小人は真面目な顔になって

「あなたは思っていることと反対のことが顔に出るのですね」と言った

「どういうことですか」

つまり、あなたは矛盾に満ちているのだと

そして、小人はさらにもう一歩近づいてその青い目で僕を覗き込むように顔を目一杯上げて、質問してきた

「あなたは数学とそれ以外の科目のうちどちらが好きですか」

僕は迷わず数学ですと答えた

これは揺らぐことのない確固たる事実だ

数学ほど魅力的な科目はないと思うからだ

化学よりも物理

物理よりも数学

である

数学は難解な学問だと思う人が多い

しかし、だからこそ面白いのである

一題につき一日かけてじっくり解くこともある

端からみれば、変人かもしれない

短い時間で数学に関する色々な考えを廻らしていると
、その小人は小さなポケットからどう考えてもあり得ないほど長い剣を取り出した

「あなたにこれを授けましょう」

そう言い、そっと鞘から剣を抜き、日に向かって翳した

白い刃が光り、小人は言った

「この剣は錆びることのない白金でできています

白金にある一流の高級ホテルで一流の鍛冶職人があしらったものです」

この時、漢字こそ同じものの「はっきん」でできた剣を「しろがね」にあるホテルであしらったとは駄洒落だなと思った

第一、なんでホテルで鍛冶職人が刃物を作るのか

ホテルでコックがあしらった料理に御座います

だったら、納得がいく

しかし、僕は真面目に訊いた

「白金と言えば港区にある地名ですね」

「さすが、我らが賢人は健在でありますな」

ほっほっほと今度は年相応な笑い方をした

しかし、この小人はさっきから妙なことを言うものだ

白金の次は賢人か

しかも、我らが賢人って

全く今まで見たことのない小人にこうまで言われるともう何がなんだかわからなくなって
閉口してしまうのだった

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