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白金の剣2

[409] 比呂 2012-08-20投稿
だが、このまま黙っているわけにもいかないので

「これをどうすればいいのですか」

と問うた

すると、その小人は澄ました顔で言った

ただ持っているだけでいいのだと

何か敵がいる

倒して欲しいモンスターがいる

「その時代はもう終わったのだから、

ただ大事にお持ちになっていて下さい」

と言うのだ

しかし…と続けた

「いつかまた必要となる時が来るかもしれません

もし、その時がきたら全てわかります

その時がもし来たら靄が晴れてぱっと視界が切り開かれることでしょう

そうしたら、この剣を私達のように腰に提げてここから真北にあるサルベケロス山脈の麓まで言って下さい


ここで僕は少々詰問口調になって言った

「その時とはいつやって来るのですか」

「それは、今申すことはできません

来るか来ないかもわかりません

未来の話か、過去の話かもわかりません」

「それはどういう…」とにかく、未来はやってくると
しても、過去がやってくる

時間が逆行することはあり得ないと思った

なぜ、こんな非現実的なことをこの小人は言うのだろうかと理解に苦しんだ

だが、その小人はしきりに言った

「とにかく待っていて下さい

その時が来ればわかるのです」

いつの間にか、さっきまで筋肉隆々で精気に満ちていた小人からその勢いがなくなり、

蚊の鳴くような声でその言葉を反芻しているのだった

仕方なく、僕はその小人の言われた通り、剣を持って「その時」まで待つことに決め、

「わかりました

その時まで待ちます」

とだけ言った

そして、僕がまたその小人に問うか問わないか迷い始めた時、

突然全身から黄色の閃光を放ち、

なんだかわけのわからない呪文を唱えて

まず、「ぱっ」と言って消えた

だが、再び戻ってきて

さっきのは誤りだ

と言い、今度は

「ぴぴっ」

と言って消えた

そして、僕はひとり迷いの森に取り残された

ここでいつまで「その時」を待てばいいのかわからず、数年過ごした

瞬く間に数年は過ぎ、数十年が経った

しかし、何も起きる予感がしない

あの数十年前に会った小人の言ったことは何だったのだろうか

僕は途方に暮れて、今日も西に消えゆく太陽を眺めながら思索に耽るのだった…


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