『何もない街』
・憧れる少女
あっちの世界に行きたいよ、君は言う。
でもあっちの世界は恐いよ、もとに戻れないから。
でも興味があるし始めてみよう、君はそう言いながら右腕に打ち込んだ。
次の日
明日海に行くんだ。
君はいつになく楽しそうだ。君は海を見たことがない。
どんな色なんだろう、真っ黒なのかな。
次の日
君は海の青に涙を流した。だけど。
期待に反して「もう■■■■やめるよ」とは言わなかった。
今日も明日も君は右腕に打ち込む。
(パピルマにでもかけらたような悦楽の表情を浮かべながら)
・不幸を知らない少年
あと何年後に又センソーが起こるのかな?
少年がニュースを見ながら誰に言うでもなくつぶやく。
ここは平和な街■■■市
戦争には一度も縁がない
不幸を知らない不幸な街
センソーってどんなの?
少年は言う。
それが最も不幸なことだとも知らないで。
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