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日々が香ばしい

[441] ともも 2012-11-14投稿
「ありがとう」のたった一言。そこに誠の心が在るのなら、それを発する側も受けとる側もとても幸福なことだろう。少なくとも俺はそうだ。
寒い日に飲む温かなスープのようにその一言は心へと染み渡る。
昔から人の役に立つことが好きだった。

偽善と呼ばれても別によかった。それで人助けができるなら。
逆に偽善のどこがいけないのだろうか。

例え行為の動機が不純なものであったとしても、それによって人を救うことができたのなら、それはきっと悪いことじゃないはずだから。

そんな風に今まで生きてきた。まだたったの16歳だけど。じいさんになってもこの生き方はきっと変わることはないのだろう。


そんな事を考えていたある日の午後。
梅雨に入り毎日曇天が続いているなか珍しく晴れた6月30日の金曜日。

晴れたとはいえ、さんさんと降り注ぐ陽気は自然に恵みの光を与えると同時に地表を熱する。
不快度指数は結局雨の日とそう大差ない。
吹き出る汗によりシャツが素肌に張り付く。今すぐに脱ぎ捨てたい衝動に駆られたが、公共の場で裸になることの羞恥心と、国家権力のお世話になることの恐怖により自重した。

「あついよー」
誰に発するわけでもくぼやきながら熱されたアスファルトの坂を登ってゆく。
もともと歩くのは遅い方だが暑さに気力を根こそぎ奪われ動きがスローモーションのようになっている。全然前に進まない。
クーラーのついていない教室で睡魔に襲われながらもなんとかノートをとり続け、授業終了のチャイムとともに帰り支度を始める帰宅部部長(自称)の俺。
ホームルームでの話を適当に聞き、クラスメイトへの挨拶もそこそこに教室を出る。

そして現在通学路にて往生中である。

今日は食事当番ではないので急ぐ必要は無いのだが早く家に帰りたい。暑いから。
普段通学には自転車を運用しているのだが現在故障中で、本来1時間もかからない道を倍近く時間をかけて歩く。歩く。あるく。

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