携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> ノンジャンル >> 日々が香ばしい2

日々が香ばしい2

[455] ともも 2012-11-15投稿
立ち並ぶ銀杏の木の葉がアーケードのように木陰をつくり、直射日光を防いでくれている。無いよりましだが暑いものは暑い。

自動車2台がどうにか通れるくらいの道幅なので、秋になると大量の落葉が散乱し坂を滑りこける者が続出する。
そのため地元の人たちがボランティアで道路の清掃をする。因みに俺は毎年参加していたりするが若いからという理由でそれはもう馬車馬のように働かされる。まあこっちも好きでやっているわけだが。
閑話休題。

ダラダラと背中を丸めて歩いていたら腰が痛くなってきた。
「んぐおぅ」
一度立ち止まり大きく伸びをしてそのまま上体を反らす。背中と腰の筋肉が負担から解放されなんとも心地よい。
「いなばうあー」
これ流行ったの何年前だっけ。
坂の傾斜を失念していたため真後ろに倒れそうになるのを必死に腕を振ってなんとかこらえる。マトリッ〇スの名シーンのようになった。
なんとか上体を起こすと急にいきんだせいか立ち眩みがした。我ながらバカだ。
気を取り直して歩き始め、ふと視線を前に向けると、なんか黄色い球体が転がってくるのが目に映った。球体は左右に不規則に揺れながら俺の足元まで来ると勢いを失って静止する。大きさは拳一個分くらい。表面はザラッとしている。オレンジだ。
手にとってみると柑橘類の甘酸っぱい匂いが口に広がった。意図せず唾液が出てくる。
何故こんなものが……って誰かが落としたに違いないのだが。こんな道路にオレンジの樹なんか自生しないだろうし。
落とし主を探すべく長い坂の上を見ると転がり落ちる大量のオレンジとそれを猛スピード追う黒い人影が俺の方へと向かっ――

「どいてー!」
「んあ?」

坂道を全力疾走する人影は俺の存在に気付き、止まろうとするが勢いがつきすぎているためかスピードは全く収まらない。

対する俺はいきなりのことで判断ができず体が動かなかない。
目の前に迫り来る人影と走馬灯。

感想

感想はありません。

「ともも」の携帯小説

ノンジャンルの新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス