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日々が香ばしい7

[540] ともも 2012-12-14投稿
教会だった。

何が、と言われれば彼女の家……らしい。

歩き始めて1時間。行き着く所は神の家だった。呆然と屋根の上の十字架を見上げながら尋ねる。
「ここに住んでいるのかい?」
「そうですが何か?」
平然と答えてるし。冗談ではないのだろう。
敷地は庭を含めて結構広い。が、あまり手入れされていないのか舗装されていない剥き出しの地面からは青々とした雑草がこれでもかと生えている。
建物自体も建築されてから何年経つやら、元は白かったであろう壁も雨風に晒され風化し一部ではヒビが入っているのが分かる。

一言で言ってボロい。

「いやー随分趣のあるところに住んでるね君は。」
「そうでしょう。自慢の我が家です。」
「……」

超前向きな、明らかにお世辞と分かる俺の物言いにそんな得意気に応えられると……なんか…居たたまれなくなってきたよオイラ。

「いつまでもそんな所に立っていないで中に入りましょう。荷物もありますし。」
「あ、ああ。うん。」

なんてことないように等間隔に敷かれたタイルをスキップするように跳んで進む謎子さん。
それに習って俺も跳ねながらあとに続いた。
ホップ、ステップ、ジャンピングーー。
意外に楽しかったのが泣けた。

先陣を切った謎子さんはそのまま古びた木製の門まで向かうと両手が塞がっているためか、足で扉を蹴飛ばしその隙間から中へ体を滑りこませるように侵入していった。
行儀が悪い。というより神聖な神の家になんてことを。
流石に人の家へ蹴破って入るわけにはいかないので肩口からそっと門を押して入ることにする。
思っていたより扉は軽く体重をかけすぎてバランスを崩し危うく転倒するところだった。
倒れるようにして中へ入ると待っていたらしい謎子さんから歓迎の言葉をかけられた。

「ようこそ我が家へ。」

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