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千年の約束

[394] H.W. 2013-12-26投稿
栄華を極めし一族も
今や滅びて民草に
まじりて生きる 世の定め
喜怒哀楽のむなしきや
重荷担える我らでも
地に足つけて 一歩ずつ
前に進まん 夏の空
わきたつ雲の 峰の果て
白き衣は干されたり
衣の白きは変わらずに
今も映えたり 夏の空

新芽めぐめる青柳
若きますらお おとめらの
歌舞音曲も 今はやみ
ただ静かなる 時の流れよ
山河変わらじとこしえに
いにしえよりのその姿
我は望めり はるけきに
緑のあおさはいよいよに
深まる日々に我が瞳
浮かぶ涙は何故なのか
ただ悲しけれ 夏の空

海の幸と山の幸
栄華を極めし一族の
食卓飾る ご馳走も
今は過ぎ去り塵をはむ
一族の 名に連なりて 食卓に
並びし家も今ははや
夏草のごと風にゆる
高ぶり歩むその道は
神の怒りに触れずして
捨て置かれずにされもせず
ただ低められ 塵をはむ

「我汝と共にあり、汝我と共にあり」
栄華極めしその主従
千歳の霜をふるとても
その契りはその子らに
その子らの子ら、孫子らに
伝わらずしておかれしや
千歳の霜をふりし今も
その約束は守られて
神よ我らをよみしたまえよ

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