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児童書だぜい。自動車税。

[476] ごはんライス 2014-05-27投稿
 梨花ちゃんは塾の先生に恋していた。だけど、告白とかする勇気がない。どうしても告白できない。禁断の恋だからさ。
「先生あのね……」
「なんだい梨花ちゃん。真剣な顔しちゃって」
「な、何でもないわ」
「変なの。顔が真っ赤だよ」
 梨花ちゃんはなんであたし女子中学生なのかなあと悔しく思う。もしあたしが大人の女なら簡単に告白できるのに、と。
 梨花ちゃんは竹刀で素振りをする。邪念をふり払わないと勉強とか部活ができない。
「先生好き!先生好き!先生好き!」
 野良犬が不気味に吠えた。「わおおおおおおん」


 ところで、ある日。先生の、中間テスト対策ノルマである。
 まず、理科。化学式。化学反応式。酸化。還元。元素記号。
 国語。アイスプラネット。枕草子。谷川俊太郎。
 英語。過去形。未来形。callとshowの語順。
 数学。多項式の計算。等式の変形。文字式の利用。
 社会。人口爆発。現代の産業構造。


 先生は38だが、未だにアルバイトである。塾のアルバイトだけだと生活が苦しいので、supermarketのアルバイトもしてる。
 明日のsupermarketの仕事がすごく気になるが(棚卸しが近いので、ややこしい仕事が山積みなのである)、まずは今日の塾仕事だと先生は思う。順番順番。
 いや、その前に小説だなぁと先生は思う。先生はプロ作家を目指してるのだ。アルバイトだけだと生活がしんどい。早く小説を所得にしないと自殺してしまうぞ。
 あまりに低賃金で、苦しくて苦しくて切なくてやるせなくてブルーで、先生はこれはいかんと、木刀で素振りをする。
「梨花ちゃん!梨花ちゃん!梨花ちゃん!」
 野良犬が不気味に吠えた。「わおおおおおん」




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