セロリ
「あたし、セロリって嫌いだな。なんか。硬いし、青臭いし。これ、ほんとに食べ物なの?って感じ」
僕と彼女はふらりと立ち寄った喫茶店でハンバーグランチを注文した。
それがテーブルに到着した瞬間、彼女の顔は花も葉も枯れ落ちたような表情になった。
そうして彼女はセロリにフォークを突き刺して、色んな角度からねめまわした。
「そうなんだ。僕は、どっちでもないな」
そう答えた僕だけれど、実際はセロリ、大好物なのだった。
噛みごたえのある食感と「セロリ」独特の風味が、僕は好きだ。
彼女はさんざセロリを眺めた後、「ん」と先端部分を少しだけかじり「うえぇ、やっぱ無理無理」といきなり胡椒をかけられたような顔をして、それから「はい。あーん」と、セロリを僕の口の前まで持ってきた。
「憧れだって言ってたしょ? ほら」
「言った覚えないんだけど……」
しかし、せっかくなので口を開けてそれを甘受することにした。
その瞬間、
(やっぱり僕は彼女が好きなんだ)
と強く、思った。
理由なんていくらでもあるけどでも、言葉なんかしたくない。
……口に含んだセロリは、何だか噛むたびに甘くなっていくような気がした。
僕と彼女はふらりと立ち寄った喫茶店でハンバーグランチを注文した。
それがテーブルに到着した瞬間、彼女の顔は花も葉も枯れ落ちたような表情になった。
そうして彼女はセロリにフォークを突き刺して、色んな角度からねめまわした。
「そうなんだ。僕は、どっちでもないな」
そう答えた僕だけれど、実際はセロリ、大好物なのだった。
噛みごたえのある食感と「セロリ」独特の風味が、僕は好きだ。
彼女はさんざセロリを眺めた後、「ん」と先端部分を少しだけかじり「うえぇ、やっぱ無理無理」といきなり胡椒をかけられたような顔をして、それから「はい。あーん」と、セロリを僕の口の前まで持ってきた。
「憧れだって言ってたしょ? ほら」
「言った覚えないんだけど……」
しかし、せっかくなので口を開けてそれを甘受することにした。
その瞬間、
(やっぱり僕は彼女が好きなんだ)
と強く、思った。
理由なんていくらでもあるけどでも、言葉なんかしたくない。
……口に含んだセロリは、何だか噛むたびに甘くなっていくような気がした。
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