結婚生活10
「陽子、ちょっといい?俺、おまえに聞きたいことがあるんだ。」
俊樹がそう言い出して、陽子はドキッとした。
陽子は、俊樹が真剣な眼差しをすると、いつも緊張を覚えるのだった。
「えー!何?どうしたの?」
陽子は、いつも通りにふるまってみたつもりだった。しかし、俊樹の方は、俊樹らしさを少し失っていた。
何か顔色が冴えない様に感じられた俊樹が、暫くの沈黙のあと、背を向けてこう言った。
「陽子、俺がもう別れてくれって言ったら、別れられる?」
「え…?今何て?」
夫の突然の言葉に、陽子は心が揺らぎ出した。
(ちょ…ちょっと、待って俊樹…。なんで、そんなことが言えるの?それに、何だかおかしいよ?)
「私、そんなの考えられないよ?何言い出すの?急に…。」
"急に"、ではなかったかもしれない。俊樹がこの頃、元気があまりなかったことを、陽子は本当は気が付いていた。ただ、弘のことに気を取られ、俊樹を優しくケアする気持ちが減っていただけかもしれなかった。
「あのね、私…。私、そんなの考えられないよ?だって俊樹は…。」
言いかけて、陽子は、初めて気が付いた。
(そうだ。私にとって俊樹は、空気みたいな存在。とっても大事な存在。私どうして、弘なんかに、心奪われて…。)
陽子の頬に泪の雫が落ちはじめて、すすり泣く音が、部屋に響いた。
「陽子、今の言葉、本当にほんとか?信じても良いのか?」
俊樹は、傍に来て、陽子を優しく抱き締めた。
「うん、俊樹。…ごめんなさい、今まで、私…。私…、俊樹のこと、ちゃんと見ること出来てなかったかも。それに…。」
陽子の胸が苦しくなりかけた瞬間に、俊樹の唇は陽子の唇を塞いだ。
「それ以上言うな!言わなくていい。何も怒ってないよ、俺。ただ、陽子を永遠に失いたくないだけなんだよ?」
「俊樹!俊樹…。」
彼の背中をしっかりと抱き寄せながら、もう陽子の心は晴れやかだった。
飾ってある結婚式の写真も光り輝いて見えた。
[終り]
俊樹がそう言い出して、陽子はドキッとした。
陽子は、俊樹が真剣な眼差しをすると、いつも緊張を覚えるのだった。
「えー!何?どうしたの?」
陽子は、いつも通りにふるまってみたつもりだった。しかし、俊樹の方は、俊樹らしさを少し失っていた。
何か顔色が冴えない様に感じられた俊樹が、暫くの沈黙のあと、背を向けてこう言った。
「陽子、俺がもう別れてくれって言ったら、別れられる?」
「え…?今何て?」
夫の突然の言葉に、陽子は心が揺らぎ出した。
(ちょ…ちょっと、待って俊樹…。なんで、そんなことが言えるの?それに、何だかおかしいよ?)
「私、そんなの考えられないよ?何言い出すの?急に…。」
"急に"、ではなかったかもしれない。俊樹がこの頃、元気があまりなかったことを、陽子は本当は気が付いていた。ただ、弘のことに気を取られ、俊樹を優しくケアする気持ちが減っていただけかもしれなかった。
「あのね、私…。私、そんなの考えられないよ?だって俊樹は…。」
言いかけて、陽子は、初めて気が付いた。
(そうだ。私にとって俊樹は、空気みたいな存在。とっても大事な存在。私どうして、弘なんかに、心奪われて…。)
陽子の頬に泪の雫が落ちはじめて、すすり泣く音が、部屋に響いた。
「陽子、今の言葉、本当にほんとか?信じても良いのか?」
俊樹は、傍に来て、陽子を優しく抱き締めた。
「うん、俊樹。…ごめんなさい、今まで、私…。私…、俊樹のこと、ちゃんと見ること出来てなかったかも。それに…。」
陽子の胸が苦しくなりかけた瞬間に、俊樹の唇は陽子の唇を塞いだ。
「それ以上言うな!言わなくていい。何も怒ってないよ、俺。ただ、陽子を永遠に失いたくないだけなんだよ?」
「俊樹!俊樹…。」
彼の背中をしっかりと抱き寄せながら、もう陽子の心は晴れやかだった。
飾ってある結婚式の写真も光り輝いて見えた。
[終り]
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