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〜Stliker〜 哀編 (159)

[954] 焼き魚 2015-04-01投稿
「大公殿下が拘束されただと!?」

ロイ、龍雅、シェイルの3名は駆け足で中央指令室へ入った。3名の後ろから事態を伝えた女性通信兵が続いた。その女性通信兵がこう続けた。

「中央モニターをご覧ください。現在、正体不明の武装勢力によって国営放送がジャックされています。画面中央には青い髪の男が立っておりその横で大公殿下が拘束されています!」

3人は中央モニターに顔を向けた。ロイはすぐに龍雅に問うた。

「峰崎中佐、間違いないな?」

「あぁ、革命教団だ。」

龍雅が頷くとロイは片手で頭を抱えた。

モニターからは青髪の男ハーツの上ずりながらも昂揚感に満ち溢れた肉声が流れた。

「諸君、本日はこの国にとって最良の一日となるであろう。そして栄光に満ち満ちた日々の第一日目となるであろう。」

ハーツのしてやったりとした笑顔は中央指令室にいた者全員を憤慨させるには十分であった。ハーツはこう続けた。

「これより、大公殿下よりお話がある。諸君は心して聞くように」

現在、放送を行っているスタジオにはハーツ、大公、大公を拘束している兵士、そして加原がいる。加原はテレビカメラとは反対方向に立っているためその姿を確認することはできない。大公は拘束している兵士に突き出されハーツに代わって演説台に立った。

大公による演説も事前に打ち合わせがなされており大公は

“要職者を刷新し、これから国の中枢機能に革命教団が介入する。”

などと宣言する予定であった。

しかし、

「皆さん、私はこの国を・・・こんなならず者たちに渡す気はありません!!」

スタジオにいた全員の表情が凍りついた。

「先の戦争で私は生まれ変わることができました。これもひとえにこの国の発展を願って散って行った多くの同胞たちのおかげなのです。私の施策では不満を持つ方も沢山おられるかもしれません」

ハーツと拘束している兵士は右往左往し始めた。

「私で力不足、不相応と感じる方はどうぞテレビの前のみなさんの力で引きずりおろしてください!つまり、私は暴力に屈しないということだ!!」

カメラの裏側に立っていた加原も動揺し大声を発した。

「何をしている!!早く引きずりおろせぇぇ!!」

ハーツと兵士が大公を取り押さえにかかる。大公はまだ続ける。

「昔の私なら自分の命惜しさに屈したかもしれないが私は負けない!!皆さん見てください!!この者たちの蛮行を!!私は死んでも構わないが国民の自由は決して死なないぞぉおおお!!」

”バァアアアアアアン”

テレビ中継は銃声と共に途絶えた。



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