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DARK-NESS167

[524] ZAZA 2019-02-20投稿
冷気を漂う刀がオルゾの首に添える



「最後に謝罪の言葉があれば聞いてやるが… 」



突然素手で刀を掴む。血がポタポタと流れるが、掴む手から炎が出て冷気を漂う刀の刃を溶かしていた



「これが最後だ…」



オルゾが立ち上がると全身炎に包まれる



「煉獄の獅子よ…纏え」



炎の獅子がオルゾと融合し、炎の鎧を装備した状態になった



「禍々しさがない美しいオーラだ。かなりパワーアップしましたね」



炎の獅子の鬣を靡かせながら静かに構える



「私も本気でいきます」



氷の鹿が天女魚と融合し、氷の鎧を装備した



炎と氷、獅子と鹿、最後にお互いの本気がぶつかり合う時、決着という死が待っている事を彼らはわかっていた



「はぁぁぁぁぁぁ!!!」



炎の拳と氷の拳がぶつかり合う。周りの物が吹き飛ぶ程の衝撃だ



「力は互角ですね。やはり最後は技の差のようですね」



ドス!っとオルゾの背中から胸に氷の刀が突き刺さる



「やはり…勝てないか…」



笑みが溢れその場に座り込む中、天女魚が頭を抱えて苦しみだす。操られていたが我に返り、自分の刀が突き刺さっているオルゾを見て愕然とした



「オルゾさん…申し訳ございません…私はなんて事を…」



すると再び頭を抱える。そして誰かに命令されたかのように静かにその場から立ち去る。



(八重桜…お前が残し、伝えた物はしっかり受け継がれていたぞ…)



薄れていく意識の中、オルゾとの思い出が走馬灯のように映像が頭の中で流れる。その中にはオルゾや駒鳥、天女魚などといった大和家との思い出や小さい頃のムカイとの思い出などがあった



(それに比べ、私は何も残せてない…八重桜…私はお前が羨ましいよ…)



胸に突き刺さっていた刀が消えた。天女魚が能力を解いたからである。流れる血を押さえる事なく少し笑みを浮かべながら眠りについた



「逝ったか…呪われた身でありながらよくやった方だネ」



空港近くまで来ていたハーデスがオルゾの方向を見ながら呟く。そして空港を方を振り返り辺りを見渡し、隠れてムカイの闘いを見ていた137を見つける



「ここにいたのかバカ娘ガ」



怒りのオーラを漂わせるが言葉は冷静…これが一番怖い。137は恐る恐る振り向き、微妙な笑顔を見せるが無駄だった



「数日という約束を破り、今の今まで復讐しか興味がない男とこんな危険な所まで来ているとハ」



子猫を咥える母猫のように首根っこを掴み、帰ろうとするが彼女の意思が強くてビクともしなかった



「お願い!あの二人の闘いを見届けたいの!」



137が指差した先に魔痕と魔獄手を発動したムカイと魔痕を発動した大和家最強の男、駒鳥が常人では見えない速度の中で凄まじい攻防を繰り広げられていた



(もはやこれは人間対人間の闘いじゃないね。二人共バケモノだヨ)



魔痕、魔獄手による強化したムカイでも駒鳥の引力と斥力のコンビネーションに大苦戦。お互いダメージは負ってるが確実にムカイの方がダメージが大きい。その証拠に魔獄手にひびが入り始めた



(強い…今の自分じゃ勝てない…悔しい…こうなったら…)



赤黒く禍々しい大きな右腕が黒い炎を纏い徐々に力が上がっていく。恐らく最後の力を振り絞って大技を繰り出す準備だろう



「見ろ…お前が惚れた男の姿を…あれはもう魔獣ダ」



魔痕を宿す瞳から血が流れ、赤黒い魔獄手は更に大きくなり、力が溢れて所々砕け落ちている。黒い炎が魔獄手全体に広がる



(来る!)



ムカイが小さく「焔…」と呟いた瞬間駒鳥に飛び込んだ。祈る137の肩に手を乗せるハーデスは左右に首を振った



「残念だが、この闘いはムカイの負けダ…」



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