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母が想うこと・4

[705]  川上優輝  2006-11-12投稿
 本人は全く悪い事をした覚えはない。それは当たり前だろう。まわりのやきもち、嫉妬心からなのだから。それを、私自身わかってあげようともせず、『おまえが悪い』と責め続けたのだ。親の顔も見たくなくなるのは、当然だろう。
繭は、とうとう朝まで帰って来なかった。どこにいるかもわからないまま。私は仕方なく学校に相談し、近隣の同じ不登校の子供達のたまり場を片っ端から、尋ねて回った。
三日後、繭は見つかった。弘樹の家に、変わり果てた姿で。
金髪に派手な化粧。ピアスは5つになっていた。
唖然としながらも、見つかった事にほっとして、繭を連れて帰ろうとするが、繭はいっこうに帰ろうとしない。玄関先で『2、3日したら帰るから』『えっ?』『家には帰りたくない。ここで生活するから』『そんな事出来るわけないでしょ!迷惑でしょ?』すると中から弘樹が、『迷惑じゃないっすよ。繭はかわいいし』と、へらへらしている。『という訳でじゃ!』と繭。その後玄関をノックしてもレゲエの大音量にかき消されていく。仕方なく家に戻る事にした。私は涙をこらえ唇を噛み締めながら帰路についた。

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