母と姉は、遅い朝食の用意を手伝いに、台所へとむかった。 おれと父は、思い出の品漁りにまだ没頭...
ちなみに写真についてだが、半分くらいが冠婚葬祭的な写真だった。ほかの写真はというと、緑が目に鮮やか...
「うん。ぐっすり眠れました。…みんな早いね」 「寒いからコタツに入って、お茶でも飲んでて。みんな...
「おじいちゃんのってことよね?」 「うん。たとえばテープに録音したりしなかったのかな?」 祖母...
頭ん中と腹の中がぐるぐると廻っていた。「ちょっとトイレ」と言ってコタツから這い出た。小便がしたかっ...
母は、真剣かつ絶妙なあいづちを打ちつつ、祖母の話を聞いていた。姉も母ほどではないが、似たような身振...
「仗之助さんがいま此処に居たら、さぞかし喜ぶだろうねえ」 仗之助…。それがおじいちゃんの名前だ。...
コタツには足が十本入り込んでいた。父、母、祖母、一番上の姉(出戻り)、おれの五人分の足が詰め込まれ...
田舎の冬は寒い。夏は確かに暑いが、そよそよと吹く風は爽やかで、都会に比べるとアスファルトが少ない分...
おれはその後、ブルースマンになることを夢みた。高校二年の夏、いっこ上の先輩の部屋でうだるような暑さ...