「馬鹿…か…お前」 棒立ちになっていたリノを、翠が抱え込み…動きが鈍いながらも迫る影を...
何も見えない…。 目と鼻の先に教室が見えていたのに、全ては闇に消えてしまった。 いや、消えたよ...
涙が滲む。 強烈な痛みと腐臭に、リノは耐え切れず目を開け…声にならない悲鳴を上げた。 自身の...
「…いやよ」 リノはニコッと笑った。瞳の端に残る涙の輝きが泣き笑いに見せている。翠は首を振った...
「や…山口先生…」 翠はリノの言葉に、思わず柄を離した。 しかし。 それは先生であって先生で...
チャイムが三回鳴るまでに。 ここから……逃げる。 リノと翠は即席の武器を手に、顔を見合わせた...
チャイムが鳴り響いたあと、蛍光灯は明るさを取り戻したかに見えた。 が、翠は小さな声で呟いた。 ...
リノは立ち上がり、汚れた体操着姿の翠を振り返った。 「考えよう」 頭がショートするくらい様々...
凄まじい力で、華奢な鍵は脆くも壊れた。 翠はリノの腕を掴み、教室の中央まで下がらせた ギ…ギギ...
非常口の青白い光しかない、暗い廊下を二人は歩いていた。 リノと翠は不安そうに、ほとんど寄り添うよ...