ゲルダは出された料理をすごい勢いで食べ始めた。これまで一週間、背嚢のなかの干し肉と乾パンで過ごしてき...
ゲルダはとっさに嘘をついた。 「森の中でこれを拾った。ちいさな泉の底できらきら光っていたんだ」...
「なんでもいい。ひどく腹が減っている。めしを食わせてくれ。」ゲルダは主婦の顔もよく見ずに、ぼそぼそと...
ゲルダが案内されたのは、こじんまりとした村人の家だった。 老人に続いてゲルダが家に入ると、夕食...
ゲルダは村に入った。 粗末なレンガ造りの家がまばらに立ち並ぶ集落で、家からは、夕げの匂いが漂っ...
ゲルダの声は暗かった。 「おれは罪を犯し、かの王国から追っ手を差し向けられたにんげんだ。おれに...
ゲルダは清水を手で受け、その水で顔を洗った。汗とぬめりを腰に結わい付けたぼろ布でぬぐい、さっぱりした...
ゲルダは森の奥を目指した。森の中央部を抜け、さらに向こうに達すれば、大きな渓谷に出る。 暗い森...
逃げなければ。ゲルダは自らが奪った背嚢の中の至宝に思いを馳せた。 見る者の魂をうばう王国の秘宝...
やがて歌い終わった髪の長い美女はゲルダの方を見て、こう言った。 「あなたにはお礼を言わねばなり...