少しあけてある窓の隙間から、風が入ってカーテンが気持ちよさそうに揺れている。 昼間はまだ暑い...
梨花はどうしたら、笑顔を見せてくれるときみたいに幸せそうな寝顔を見せてくれるのだろう。 今は...
眠れなくて困っている梨花のいるリビングに、水を飲みに行く振りをして入る。 梨花は電気もつけないで...
目を覚ますと、梨花は隣に居なかった。 キッチンでコーヒーを淹れて、ブラックで飲んでいるのだろう。...
本当は、誰かひとりだけを見ていたい。 でも、誰も私だけを見ていてくれないと思っていた。 私...
雨は相変わらず降り続いている。 電子レンジのデジタル時計が青白く浮かび上がっている。 真夜中。...
「梨花。」 彼は吸っていた煙草を私の口元に運んでくれる。 一本の煙草をシーツに包まれて交代...
「どうしたの?」 優しい声。優しい指。優しい腕。優しい手。 もうだめだ。 はじめから行き...
「また誰も居なかったんだね。」 「うん。」 「大丈夫、俺は今ここに居る。」 背中...
図書館、新宿の紀伊國屋書店、高島屋の10階のパウダールーム、サザンテラスのスターバックス。 いつ...