やべぇ、マジやべぇ! 体を揺らしながら由良先輩は俺に近付いてくる。 「かーたーぎーりー、なんで...
階段で出会うのが一番危険な気がする。 まず逃げ場がない。 そして足場が悪い。 詰んだ、という...
とにかく逃げる。 新学期の朝だろうと関係無く廊下を走る。 後ろを振り返れば由良先輩はゆっくりと...
俺の名は片桐篤。 突然ではあるがピンチである。 「ゆ、由良先輩、待って!話し合おう!ってかなん...
恵一は椅子に座って十九、いや二十年前のノートを眺めていた。 (そうか、もう二十年になるんだな。)...
インターホンが来客を告げる。 「はいはい、と。」 恵一が扉を開けると、そこには十五年前の亡霊が...
土曜の夜、仕事帰りの恵一の携帯が着信を報せる。 「はい?」 『あ、恵一?』 「母さんか、なん...
『恵一ー、飲み会行かないのー?』 電話の相手は孝太。大学仲間との飲みに誘われていたのだが、今日だ...
「…暇だ。」 恵一は大学の構内で呟く。 もう五年も経っており、彼女の事は多少吹っ切れていた。 ...
朝の十時過ぎ、恵一は隣りの家の前にいた。 久し振りな事もあって緊張するが、恵一は意を決してインタ...