『菊枝さんが…それじゃあ、早苗さんに歌を教えたのも、歌わせてこいつを蘇らせるため…日記も、自分が死...
菊枝は、歌を書き終えるとまた穴を抜けて岩壁の道をつたい、山道から雑木林へと家に向って歩き出した。駆...
「ごめんよ、ごめんよ…」 ポリトフスキーは、呆然とする幼い祐輔と悠子に何度も謝った。 ...
最初は牛嶋だった。車に飛び乗って、牛嶋はパソコンを膝の上に置き、歌詞を見ながら一週間の歌を口吟んで...
朝靄の雑木林の中で、祐輔の目の前に立っている男は、透けるような淡く長い金髪をなびかせて、吸い込まれ...
祐輔は無信仰者だ。輪廻も霊の存在も信じていなかった。ただ、それで春樹が安心するのならと考えていた。...
「風呂敷だったのか…」 祐輔はしゃがみ込み、懐中電灯で風呂敷を照らし書かれた文字を読み始めた...
「祐輔くん?…まさか、祠の中に遺体が有ると言うのか…」 「違います…春樹さん、この祠退かすの...
春樹はしばらく黙っていたが、祐輔の視線を感じてようやく口を開いた。 「悠子が日記を持って飛び...
「祐輔くん…」 春樹は、愛する人を無くした祐輔の気持ちが痛いほど分かった。 「一週間も...