雨粒が屋根を叩く音が小屋の中まで響いて、会話さえもままならなくなっていた。 「いつまで続くんだ…...
―この子が手配されて時間が経っているにも関わらず誰も発見できていない…となると、貴族や王族の可能性...
「私よ、ワイズ」 その人物はフードを下ろしながら、赤い髪を鬱陶しげに払った。 「メディナ…!」...
「はあ…疲れた…」 外に出てエナンと合流したザックは、一つ小さくため息を吐いた。 「緊張しまし...
「あの…」 ザックは袋と証明書を受け取りながら、ワイズに声を掛けた。 「何だ?」 「実はその...
「え!?」 ザックは予想だにしなかった質問に、一瞬、うろたえた。 「あれなんてどうですか?」 ...
「本物のサインだな。よし、賞金の百五十ガリオンと証明書を発行しよう」 ワイズは確認を終えると、カ...
「ワイズ」の前までやってきたエナンとザックの二人は店の前で足を止めた。 「ここですか?」 「は...
「あ…こちらこそ、宜しく」 ザックは照れ笑いを浮かべながら、握手した。 「では、私とダリルはも...
「ダリルと彼でもいいとは思いますが、それだとバランスが取れないと判断したからです」 「バランス?...