美香は足を使い慣れない王子を気遣いながら、煙の見える方角に向かって歩き出した。 美香はふと気にな...
「こんなのおかしいわ。犠牲がなきゃ何もできない世界だなんて……。」 しかし、王子は不思議そうに美...
なぜこれほどまでに自由を渇望するのか 解放されたくて 解き放たれたくて 自由にな...
やけに嬉しそうな様子の王子の手をほどきながら、美香は疑わしげに尋ねた。 「一体どういうことなの?...
目を開けると、月は地面と平行に空を飛んでいた。たまに降下し、また水平になり、ずっと繰り返しだ。どう...
気づけば美香は王子に抱きかかえられて空に浮いていた。体の痛みはまるでなく、驚いてあちこち見てみると...
「う…、」 目が覚めると、すぐに浮遊感が襲ってきた。 そこは地面ではなかった。ガケの際、もろい...
30分ほども歩くと、美香はさすがにうんざりしてきた。 地面が見えている場所をいちいち探しては、枝...
老婆は言った。 「この小屋を出たら、すぐには山を降りずに、空を見上げて大きな月を探しんさい。その...
老婆が塗る軟膏は、鼻がツンとするようなきついにおいがした。美香は傷口が痛むのを我慢して、ずっと唇を...