午後8時。おれは十字路にいた。手にはギターの入った革のギターケースを持っていた。雪こそ降ってはいな...
外の世界は見渡す限りの雪景色だった。家も車も木も道も山も、すべてが真白にデコレーションされていた。...
聴き間違えではない。おれは自分の耳にはそれなりの自信を持っていた。絶対音感があるわけではなかったが...
ギターを手に取り、ゴージャスなギターケースから引っ張りだした。当たり前のことだが、ギターにはこれっ...
革張りのギターケースは冷え冷えとした四畳半に寝そべっていた。布をひっぺがされたそいつは、少し寒そう...
祖母はオレンジ色の何処か懐かしい光を浴びながらおれに手招きをした。おいでおいでと小さな子供を呼ぶと...
ずっと降り続けていた雪はいつの間にかこっそりと止んでいた。目の前にはユラユラと揺らめく湯気が立ちの...