2-5 椿 抄司郎と女は角の一室に案内された。 『この部屋は馴染みの客専用だから,...
2-4 椿 追っ手は全て片付いた。川原に大量の血が流れている。 女はまだその場に座...
2-3 椿 『お侍さん。』 女は短刀に手をかけたまま動かない抄司郎に声をかけた。...
2-2 椿 抄司郎の時が止まった。 女は落ちた刀を拾い上げ付いた血を丁寧に拭き取ってい...
2-1 椿 四年が過ぎ,抄司郎はこれまで何人もの人を斬った。 それは, いつの間にか...
1-5 出哀 『お前,石澤の娘を斬らなかったそうだな。』 武部がついさっき帰宅した...
1-4 出哀 『人を‥, 斬れと言うのですか。』 抄司郎がその事実を知ったのは,...
1-3 出哀 抄司郎は14の時, 武部嘉市郎 (たけべ かいちろう)に人斬りとして雇...
1-2 出哀 日は沈んだ。 月明かり無しでは先が見えない程,辺りは闇に包まれている。 ...
1-1 出哀 『やだねぇ,また人斬りが出たそうだよ。』 そう旅籠屋の女将が噂し...