医師と純は向かい合うと医師の方から話し始めた。 「お名前は?」 「坂木です」純は、いた...
そんな古賀は、この薄暗い部屋でキャロルの歌声を聴くと、若き日の恵子の姿が脳裏に浮かぶのである。あ...
古賀は、この日、新人の山口英夫のサ-ドシングル[二人]のレコーディング最終日であった。 古賀...
レコードに針を降ろし、薄暗い部屋に軽快なピアノのイントロが流れだす。そして歌声が加わる。その薄暗...
「よく来たな多田。ものは、持ってきたな?」男は、不気味なくらいに平静な口調を取り戻していた。 ...
暗闇に目が慣れるまで時間が掛かった。取引の場所は、男が指定した、町外れの倉庫である。 約束の...
父が病院に駆け付けたのは、京子が電話を切って、30分ほどしてからである。父を目にした純は、少し安...
京子は、病院を出て行ってしまった純を必死で追い掛けた。純に追い付いたのは、病院から500メ-トルく...
仕方ないという感じで純は家を出てて、京子の車に乗り込んだ。すぐに京子が運転席のドアを開けた。 純...
翌日、純の姉京子が朝一番で坂木家に来た。 「お父さん、純は?」父に尋ねる。 ...