1997年1月12日 午前2時30分 この旅館の長い歴史を感じさせる古き趣のある和室。...
上も下も左も右も白い果てし無い空間。 その世界で咲弥だけが一人横たわっている。 体はピ...
「俺が言っている事は紛れも無い事実だってわかっただろ? それともお前が見ている悪夢や幻覚は全て嘘...
「はぁ!? あんた何言ってんの!?」 咲弥は目を見開いて困惑と疑問の表情で羅照に聞...
「えっ!?」 目を覚ました春川咲弥(さくや)は目の前の光景にただ唖然としている。 直ぐ...
朧月はぼんやりと寝静まった住宅街を照らしている。 初夏の風は生暖かく、その黒い服の男の長い銀...
5月の満月の夜。 異変が始まったのはその日の事だった。 私はいつも通りテレビを...
誠は魚港の近くの一件の錆びれた居酒屋へと入って行った。 「親父さん。血を一本頼む。」 ...
その質問に誠と呼ばれた青年は冷たく笑って答えた。 「タイプじゃないから。 以上。」 両者...
昨晩降っていた雪は未明に雨へと変わり雪は跡形も無く消えている。 その雨すら今は止み、雲の...