一足の草鞋につきし竃馬かな 稲雀瞬きをせば雲の上 何しても光のごとし秋の日や 嬉し...
竜宮城に着くと前と同じように、乙姫様直々に僕らを迎えてくれたのである。数日ぶりのことだが、ずいぶんと...
はるかなる森を見つめし秋の雨 夢見れば障子洗ひの祖母が居る 日没の丘の上ある薄かな ...
風吹けば通草もゆれて鳥止まり 能面の顔した人や秋茄子 子の眠り安らかなりて震災忌 ...
折り紙で作る芙蓉と庭の芙蓉 松虫に我の心のすき間かな ちんちろりん夜ごとに降るやちんちろ...
幾十里経てもかがしの風景や 空仰ぐ秋の雲の変はりゆく 善人の心揺らぐや...
啄木鳥の突く我は氷食む 桐一葉安心したる人に落つ 道端で子はボール投げ草の花 葛の...
鬼灯の誰みて赤くなるのかな 心から思ふ人あり木槿あり 訪ぬればたちまち鵙...
大海原を大きな帆船で渡る途中、僕は鯨に会った その夜は星月夜で水面がよく見えなかった で...
どうしてか なぜそうなるのか いろいろ考えてみたがわからない わからないのが嫌だか...